そんな疑問にお答えします。
結論
独身税という名目の税金はなく、必要性もありません。
もっというと、既に日本では間接的な独身税がかかっています。
日本では様々な税金がかかります。
馴染みのある消費税をはじめとして、所得税、住民税、固定資産税などあげるとキリがありません。
そしてたまにネットで議論が起こる独身税・・・これは何なのでしょうか?
それでは解説します。
本記事の信頼性
独身税ってそもそも何なの?
独身税という不穏なワード。
そもそもこの言葉の意味することは何なのでしょうか?
独身税の定義・目的
独身税とは、文字通り独身が負担する税金のことです。
現在、日本では、独身税という名目の税金は存在しませんが、事実上の独身税は存在します(後述)。
独身税を導入すべきという考えを持つ人の意見は次の通りです。
- 「独身税を独身に課すことで、結婚を促し、少子化対策に繋げる」
- 「既婚者(子育て世代)の負担を軽減する」
なぜ独身がターゲットに?
独身は、稼ぎのすべてを自由に使える(ように見える)ということが挙げられるでしょう。
独身については、「人間性に問題がある」というレッテルも貼られることもあり散々ですよね。
それについては、次の記事を参考にしてください。
-
独身は人間性に問題があるのか?比較(カテゴライズ)が差別を生む
そもそも独身税の話題が大きく取り上げられるきっかけとなったのは何でしょう?
メモ
2017年、石川県かほく市のママ課(すでに解散済み)が、財務省主計官との意見交換会で「独身税」を要望したことが事の発端です。
「子育てで生活水準が下がるので、独身者に支援をお願いできないか?」
という内容でした。
注意ポイント
もしかすると、実際の意見交換会ではもう少し表現が異なっていた可能性もあります。
しかし、おおよそ同様な内容だと思います。
確かに、少子化問題は深刻化していますし、子育て世代の経済的負担も大きいでしょう。
しかし、独身税を課して本当に少子化対策に繋がるのでしょうか?
実は海外で、独身税を導入した例があります。
その結果どうなったか見てみましょう。
海外(ブルガリア)で独身税を導入したら、出生率が下がった【失敗】
ブルガリアでは1968~1989年に独身税が導入され、失敗に終わっています。
収入の5~10%が税金として徴収されたようですが
結局独身がお金を貯めることができず、むしろ結婚を避ける結果となりました。
導入前の出生率は2.18%だったのに対し、1.86%に下がりました。
「独身税を独身に課すことで、結婚を促し、少子化対策に繋げる」
という目的は少なくとも達成できなかったようです。
ポイント
日本も結婚に消極的な理由として、経済的理由(結婚資金・住居)がトップなので
同じような結果になることは想像に難くないです。
いつの時代でも結婚資金はハードルとなっていますが
独身税が徴収されたら、さらに追い打ちをかけそうですね。
独身税が不要な理由を、社会保障の面から徹底解説!
感情論で話しても収集がつきませんよね。
実際に数値として見てみましょう!
子育て世代が、既にどれだけ優遇されているかを
税金・社会保障の面から解説します。
注意ポイント
誤解の無いように言っておくと、子育て世代を貶めたり、独身に感謝しろなどというつもりは全くありません。
「みんなでサポートしているんだよ」ということが伝われば幸いです。
既に子育て世代は優遇・サポートされてる
独身税を導入すれば、「既婚者(子育て世代)の負担を軽減する」は確かに達成できるかもしれません。
徴収した税金を子育て世代に回せばいいだけなので、難しいことではないでしょう。
しかし、よく考えてみてほしいです。
既に税金や制度の面で優遇されているのではないでしょうか?
それでは見てみましょう!
配偶者控除・扶養控除
38万円~63万円の控除(年齢に応じる)があります。
これは、専業主婦や子供が適用されますね。
「給与-控除=課税所得」です。
当然、控除が増えれば増えるほど、課税所得は下げられるので、税金を支払う額が少なくて済みます。
つまり、自分たちにお金が返ってくるということです。
独身の場合、もちろん配偶者控除も扶養控除もありません(一人暮らしの場合)。
注意ポイント
この式がわからない人は、お金の基礎知識を身に付けましょう。
お金の知識全般についてわかりやすく学べる良書、「お金の大学」をこちらの記事で解説しています。
-
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健康保険・国民健康保険
生計者の扶養であれば、配偶者も子供も健康保険料を支払う必要がありません。
例えば、あなたが総所得500万円程度なら年間50万円くらいは健康保険料として納めています。
メモ
会社員の場合、会社が健康保険料を半分負担してくれているので気づきにくいですが・・・。
給与明細の2倍は実質支払っているんですよ。
独身だろうが既婚者だろうが、健康保険料は同じように納めます。
しかし、既婚者の場合、何人子どもがいようが世帯主一人分納めればOKです。
すなわち、割りを喰っているのは紛れもなく独身なんです。
注意ポイント
最近は共働きも多いので、その場合は二人とも健康保険を別々に支払っています。
育児休業給付金
- 2年以上雇用されていて、12ヶ月以上の雇用保険加入期間がある
- 休業中の勤務日数が10日を超えない
上の条件を満たすと
労働者の育児休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)×67%
(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)
が支払われます。
20万円の給与なら、20万×0.67=13.4万円を6か月もらえますね。
児童手当
中学生(15歳)までは年齢により、月額1万~1.5万円支給されます。
出産手当金
標準報酬日額の3分の2に相当する金額をもらえます。
出産育児一時金
通常、赤ちゃん1人につき42万円もらえます。
国民年金保険料の免除
国民年金第1号被保険者(専業主婦など)であれば、国民年金保険料の免除を4か月間受けられます(平成31年度4月より開始)。
もちろん、その期間の国民年金保険料は払ったものとみなされます。
こどもの医療費負担
自治体によりけりですが、全額無料のところもあります(内容による)
子育て世代は既に多くの補助金を受け取っている
もちろん、子育て世代もこれらに関する税金を支払っています。
(子育てを終えた世代も同様です。)
しかし、独身の場合、これらが自分たちの手元に直接戻ってくることはありません。
これでも、さらに独身税をとる必要があるのでしょうか?
子育て世代はもちろん大変だと思います。
子育てをするのは、お金だけでは解決できないこともあるでしょう。
しかし、”独身である”という理由だけで、金銭的負担を求めるのはいかがなものかと思います。
独身に経済的負担を押し付ける以前に
子育てをしやすい環境・仕組みづくりをすべきではないでしょうか?
結婚も子育ても、決断したのは”自分”です。
結婚・子育てそのものは素晴らしいことだと思いますし、その決断自体を否定するつもりはありません。
しかし、結婚・育児をすることを決断したのも、また、他ならぬ”自分”です。
言葉は悪いかもしれませんが
誰もあなたに”結婚して子供を育ててor産んでください!”
なんて頼んでいませんよね?
結局、結婚も子育ても決断したのは自分なので
全て自己責任なんですよね。
もちろん、子育て世代のやりくりは大変だとは思います
確かに養育費は自立するまでに数千万にも上る可能性もあり、その負担は低いとは言えません。
経済的な面だけではなく、育児そのものの大変さもあるでしょう。
しかし、それも覚悟していたはずですよね?
子育てというかけがえのない経験を得る対価とも言えます。
それは独身が経験することのできない、尊い行いだ思います。
だからといって、都合よく”テイク”ばかりするのはいかがなものでしょうか?
経済的に苦しいのは、あなたのこれまで育ってきた環境のせいかもしれません。
場合によっては、個人ではどうしようもできないこともあったでしょう。
しかし、今の日本では教育も平等に受けられるので、たいていの場合は”自己責任”ということになります。
それなのに独身を標的にし、金銭的負担を強いるのはさすがに酷くないでしょうか?
Win-Winでないと、必ず軋轢が生じる
もし、独身にさらに何かしらの形の協力を要請するならば
Win-Winになるような対策を考えなければなりません。
例えば、自治体などでコミュニティーを作り
独身と子育て世代の交流の場を設けるといったようにです
(もちろん、変な人が紛れ込んだり、犯罪防止の対策は必要でしょうが)。
独身だとしても、子供は好きという人も多いでしょう。
そういう人がコミュニティー内で
- 子どもの遊び相手になる
- 勉強を教える
などして関りを持つことで、結婚や子育てに興味を持つかもしれません。
場合によっては、そこで知り合った独身同士が仲が良くなり、結婚につながることもあるかもしれません。
既婚者は、ふだん時間が取れなくてできない自己投資や、束の間の休息を楽しむことができるかもしれません。
これは適当な例ですが、人は何かしら自分たちにメリットが無いと行動しません。
一部の人しか得をしないような構図では、だれからも支持は得られません。
独身・既婚者問わず自己投資しないと生きていけない時代
そもそも論ですが、お金が足りないからこのような話が出るんですよね?
お金は自分で稼ぎ、守るものです。
「何を当たり前のことを言っているんだ、こいつは?」
って思いましたか?
もし、「稼ぎが少なくて大変です!」というなら
まずは支出の見直し(不要な保険など)をした方が良いです。
こちらの記事でお金の知識の概要を学ぶことができます。
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【怪しい?】”お金の大学”の評判は?無料で学べる?!【リベ大】
次に、自己投資・転職・副業などを始めるべきです。
もはや、転職しないことがリスクと言われる時代です。
今日から行動しましょう!
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【2021】超定番!本当に”おすすめ”の転職エージェント3選
今は日本政府により、副業も解禁されています。
終身雇用制度も崩壊に向かっている中、副業禁止の会社は未来がないので、転職したほうが身のためです。
ポイント
副業はコロナ禍の煽りも受けて、活発化しています。
始めるのが遅いほど、参入障壁が高くなるので早めの登録と実践が必要です。
個人的に最も使いやすいと思ったのはココナラです。
次の記事でココナラについて解説しています。
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最低限の努力もしないで、世の中が悪いんだと嘆いても
残念ながら誰も救いの手を差し伸べてはくれません。
給料に不満があるのなら給料アップを目的に転職をすればいいんです。
退職が怖いのであれば、今の時代、退職代行を使用すればいいだけの話なので、結局は自分次第です。
国も大手企業も
「もう今まで通りの雇用形態は無理!」
と言っているんです。
私たち一人ひとりが、主体的に時代に合わせた働き方をしなければいけない時代になっているんです。
独身税は不要。そして、既婚者と独身は共存できるはず
もしかしたら、この記事を読んで傷ついた方もいるかもしれません(すみません)。
ただ誤解の内容に言っておきますが、私は結婚反対主義者ではありませんし
子育て世代をサポートしたくないなんてことは思っていません。
むしろ、必要な場面では手助けできたらと思っています。
しかし、独身税はさすがに合理性に欠けてしまうのでは?と思い、それを伝えたかっただけです。