そんな疑問にお答えします。
私は私大の理系学部から東京大学大学院(東大大学院)に進学しました。
本音ベースで東大大学院事情について解説したいと思います。
結論
就職・転職に有利になることはほとんどない(足切り回避くらい)。
学歴ロンダリングと思われることもある。
学費は私立より圧倒的に安いのでおススメ。
研究なら大学院名ではなく、研究室単位で探すのが吉。
本記事の信頼性
東大大学院とは?
東大大学院は日本の最高学府と言われる東京大学の大学院です。
文系学部は数十%程度で東大大学院への進学率は少ないですが、理系の進学率は高く、東大大学院への進学率は次の通りです(出典:"東京大学の概要-資料編-2017 学部卒業者の卒業後の状況"より)。
- 工学部(79%)
- 理学部(86%)
- 農学部(67%)
- 薬学部(95%)
このように同大大学院への進学率が高いことで知られています。
心に巣食う学歴ロンダリングという問題
先日、こんな記事が話題となりました。
>>「院だけ東大」で陰口も…“学歴ロンダリング”と揶揄される人たちの憂鬱
学歴ロンダリングとは?
大学院進学において、自身の出身大学よりもさらに上のレベル(偏差値的に)の大学院に進学することを指します。
元々は経済用語として利用される「マネーロンダリング」から派生した言葉です。
マネーロンダリングは脱税、粉飾決算などの犯罪によって得た資金を、出所をわからなくするために、架空or他人名義の金融機関口座などを利用して、転々と送金を繰り返したりすつことを指します。
ロンダリング(laundering)は”洗濯”や”綺麗にする”などの意味を持つので、学歴を良く見せる意味を表すのに「学歴ロンダリング」という言葉が使われるようになりました。
本当にやりたい研究があって東大大学院の研究職でないとできないのであれば、それは立派な進学理由です。
しかし、実際には次のような目的で進学を考える人が多いです。
- 就職・転職に有利だと考える
- 大学入試に失敗して、リベンジを果たしたい
- とにかく東大という肩書が欲しい
- 学費が安い
[/st-mybox]
上記のような理由で進学する人が多いので、それを揶揄する形で学歴ロンダリングという言葉が使われます。
実際のところ、どんな理由でも他大から東大大学院に進学した時点で学歴ロンダリングという風に言われてしまうところがあるんですが・・・。
正直、自分は上記の理由全て当てはまりますが(笑)、もともとは他大に進学する予定はありませんでした。
学部時代の研究室がハラスメント体質(パワハラ・アルハラ)があったので、外に出ざるを得ない状況だったんですよね(遠い目)。
内部生にバカにされたりしないか?
外部から進学するとなると、内部生にバカにされることはないか不安だと思います。
しかし、ご安心を。
基本的に外部から来たからといって、除け者にされたりバカにされたりすることはありません。
大学院のオープンキャンパスで研究室紹介があった時、入試のコツなどについても教えてくれました。
あまり内部・外部のことは気にしなくて大丈夫です。
東大大学院にも序列がある
本郷キャンパス・弥生(農学部)キャンパスの学部に進学すると、難易度が幾分か高いのでまだ許容されやすいのです。
しかし、駒場にある総合文化研究科や柏にある新領域創成科学研究科などだと”他大出身の人が多い”、"入試問題がやや簡単”なこともあり、余計に学歴ロンダリングと叩かれやすい傾向にあります。
私は本郷の方でしたが、自分のやりたい研究が新領域創成科学研究科にあるんだったらそちらに行けばいいと思うので、”○○に進学したからレベルが低い”と言っている人はナンセンスだと思います。
実は外部の人でも、「自分は本郷・弥生キャンパスの大学院に進学するからあいつらとは違うんだ!」とマウンティングを取る人がいます。
また、学歴ロンダリングと言う人は、東大大学院に通っていたことが無い人がほとんどなので、こちらも無視して良いでしょう。
東大大学院進学のメリット・デメリット
東大大学院に進学することのメリットとデメリットを解説します。
メリットは?
- 東大のブランド力(肩書)
- 学費が安い
- 研究設備が充実
- 学生のレベルが高い(こともある)
一つ目は、東大のブランド力(肩書)です。
腐っても東大と言いますか(笑)、自分の実力以上に周りが勝手に良い評価をしてくれることがあります。
世間一般的には、東京大学が凄いと認知されており、その大学院となるとさらに凄いと思ってくれます。
東大大学院出身というと一目置かれるということは、やはりあります。
中小企業などでミーハーな社長だと、学歴至上主義の人は未だにいます。
そういう層の人には東大大学院の肩書は役に立ちます(良し悪しはともかく)。
二つ目は、学費が安いことです。
これは大きなメリットです。
私大の理系学部はただでさえ学費が高く、年間100万~150万程度かかることはザラにあります。
奨学金を借りている人も多いですし、事実私も借りました。
毎年1万円以上のお金が数十年にわたって回収されるのは、心理的になかなかキツいものがありますし、実際に支払いが滞ってしまう人も後を絶ちません。
東大大学院であれば、入学料(282,000円)がかかるものの、学費は私大の半額程度(535,800円)で圧倒的に安く済みます。
自分のやりたい研究が東大大学院にあれば、学費の面でも非常にお得なんですね。
三つ目は、研究設備が充実していることです。
研究に使う実験器具や試薬をケチらないといけないような研究室では、自分のやりたい研究が思うようにできないですし、何よりストレスです。
そういう意味で、国から最も予算を獲得している東大は全体的に研究がしやすい環境と言えますが注意点も。
それは、研究費は研究室ごとに異なるということです。
億単位で予算があるところもあれば、1千万円にも満たない研究室もあります。
それこそピンキリで、研究の世界では研究室単位で見ることが非常に重要です。
東大に比べてネームバリューは劣っていても、かなりの予算がある研究室もあります。
そういう意味では、進学を決める際、研究室単位で大学院進学を考えるのが賢明なのです。
しかし、大学生の時点でそのように考えるのは難しく、「とりあえず東大大学院に進学いしたい!」という人が多いのが現状です。
四つ目は、学生のレベルが高い(こともある)です。
やはり、頭の回転が速い人・優秀な人に会える確率は高まり、モチベーションアップに繋がります。
一方、本当にいい加減な人もいるのも事実なので、一概に東大の学部を卒業したから優秀ではないというのは覚えておきましょう。
勉強しなくなったら、どんな人でも能力は落ちます。
デメリットは?
- 学歴ロンダリングと揶揄される
- それなりの勉強は必要
- 明確な目的意識が無いとムダになる
一つ目は、学歴ロンダリングと揶揄されることです。
これは再三述べましたが、学歴ロンダリングと言われてしまうことがあります。
直接は言われることはなくても、「周りの人に学歴ロンダリングと思われていないか・・・?」など疑心暗鬼な気持ちも生じることがあるので注意が必要です。
会話の中でも、出身大学院のことは話さず、出身大学を最終学歴として話す人は案外多いものです。
二つ目は、それなりの勉強は必要であることです。
学歴ロンダリングと揶揄される東大大学院進学ですが、やはりある程度の勉強は必要です。
私も数カ月以上はみっちり勉強しました。
あとよく誤解されていますが、問題自体は簡単ではありませんからね?
最低点数は確かに低いと思いますが、そこを勘違いすると痛い目を見ます。
内部の東大生だって、勉強していなければ普通に落ちる世界です。
あと英語力が結構重要です。
TOEICやTOEFLの点数が壊滅的だとまず受かりません。
三つ目は、明確な目的意識が無いとムダになるということです。
大学院に進学するのは、モラトリアム期間の延長のように考える人も多いですが、それだとやはり無駄な2年間を過ごすことになります(修士の場合)。
東大大学院の肩書が欲しいというだけで進学を目指すのも否定はしませんが、進学したからには何か有意義な結果を残すという意識が無いと本当にムダになります。
その子は結局、辞めてしまいましたが、大学院進学の意義を見失うと時間を無駄にするだけですよ(マジです)
東大大学院の難易度
既に述べましたが、東大大学院入試問題は簡単なわけではありません。
正確には、問題自体は難しいけど、最低点数は低いので、多少実力不足でも進学できるというのが真実です。
もちろん、進学したい学部や研究室によって難易度はマチマチですが概ねそのような傾向があります。
面接も行われることが多いですが、大きなヘマをしない限りは問題ありません。
基本的にはペーパーテストで結果は決まります。
今後、東大大学院の肩書は就職・転職に有利にはならない
正直、どんどん役に立たなくなるというのが私の率直な意見です。
特に、就職・転職業界では学歴と能力が比例しないことは既に周知の事実ですしね。
”学歴による足切りを食らわないで済む”くらいの効果しかありません(学歴フィルター)。
これは5~6年前に私が就職活動をしていた当時からそうでした。
自分がどのような研究をしてきたかという中身が遥かに重要視されている時代です。
最近は、実力主義に移行しつつあり、その傾向はますます強まっていくので「東大大学院の肩書を得て一発逆転!」みたいな考えを持っている人は甘いです。
それならプログラミングや英語などの汎用的なスキルを磨いていた方がよっぽど企業に重宝されます。
もし、東大大学院への進学を考えているなら
もしあなたが東大大学院への進学を考えているのであれば、本当にその研究は東大大学院でなければできないことなのか考えるべきです。
そして、今の時代、「研究は大学名ではなく、研究室単位で考えるべき」という考えに切り替えることが賢明です。
東東大大学院でなくても、優秀な研究室は全国各地に多くあります。
それこそ世界的権威ある教授が、地方の大学で教鞭をふるっていることも珍しくありません。
本当にやりたいことが東大大学院にあるなら進学はおすすめ!英語だけは早めの対策を!
もし、やりたいことが東大大学院で達成できるのならもちろん進学を目指すことは有意義です。
私も東大大学院に進学して、とても勉強になりましたし、良い師にも巡り合えました。
銀杏並木の下を歩き研究室まで歩いたのも良い思い出です。
進学を考えるのであれば、自分の専門分野の勉強はもちろん、英語だけはしっかり取り組みましょう。
英語は一朝一夕で身に付くことは無いですし、受験の成否を分けます。
東大大学院入試ではTOEICやTOEFLのスコア提出が求められる(それにより英語試験免除になる)ので、早めの対策をしておきましょう。
おすすめの英語対策を紹介しておきます。
特にリクルートのスタディサプリは7日間の無料体験ができるのでおススメです!
厳選!おすすめTOEIC/TOEFL対策
院卒・博士・研究職の転職に強い!